うまくいく人、うまくいかない人 その2

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「窮鼠猫を噛む」という諺がある。
追い詰められた鼠が猫に嚙みつくように,弱者も逃げられない窮地に追い込まれれば強者に必死の反撃をして苦しめる。
窮鼠却(かえ) って猫を嚙む。時には鼠が猫を成敗することもあります。
探偵を長年やっていると、この様な有様を目にすることがあるのです。
ネズミの立場からすれば絶体絶命のピンチである。
ネズミが神様に祈るかどうかは分からないが、人であったら神に祈る方も多くいるであろう。
窮地の状況の中で、一人の探偵と出会い、探偵の話しを真摯に聞き、自身でそのことをよく考えて行動に移した一例を書きます。

相談者はAさん40歳、結婚して10年になる。妻と男の子が3人、小学三年を筆頭に幼稚園まで二歳違いである。
Aさんは、Uターンで二年前に故郷に帰ってきた、それまでは転勤の多い会社に勤めていた。郷里の親の面倒や子供の転校も無くしたいとのことからの決断であった。
Aさんは前職のスキルを活かせる仕事に就きたいと思っていたが、山形ではそのような仕事はすぐには見つからない。
仕方なくアルバイトをして知人や友人を頼ってスキルを活かせる就職活動を続けていた。
妻は、Uターン後半年ほどで仕事が見つかった。この頃から家庭内での役割が変わっていったのです。
営業職の妻の帰宅時間は、最初の頃は子供の面倒を見るということで夕方6時くらいには帰宅していた。
ここ1年は、何かと忙しいという理由で、夜の9時、10時はザラで深夜になることもあった。
家計を支えてもらっているというい負い目もあり、夫は子育ての殆んどを担うようになった。
2か月前、Aさんにスキルが活かせる仕事がようやく見つかりこれからという時期だった。
妻が子供3人を連れて出て行った、妻の実家に住むという。
まもなくして、裁判所から離婚調停に関わるハガキが届いた。Aさんにとっては寝耳に水である。
理由が全く思い当たらない。調停でAさんは、その訳を聞き愕然とする。
「山形に帰ってからの夫は、働こうとはせずに毎日ブラブラしていて家計は全て妻の働きで賄っている、子育てや家事にも協力しない。」というものだった。
Aさんは涙ながらに、私にこう訴えた「前職を退職した時に、千数百万の退職金が出た。しばらくはそれを切り崩しながら就職活動をして、スキルの活かせる仕事に就く。それまではアルバイトで頑張るからと夫婦で確認して奥さんにそのお金を預けた。それでもAさんはアルバイトで毎月15万~20万家計費に入れていたそうです。
おそらく手取り額は、妻と同じくらいじゃないかな、その上、妻は仕事を理由に家事、子供の世話を一切しなくなった。話の途中で号泣するAさんを幾度も見た。
退職金の入った通帳も持っていかれ、Aさんはほぼ一文無しになった。
そんなAさんが、探偵社に来るようになった理由は、子供と会った時に子供から聞いた話からであった。
「僕、あのおじさんきらいなんだ、パパ、早く迎えに来て、ママとは居たくない。パパとスキーに行きたい。」
妻は、妻の両親のところにいるから、男性はおじいちゃんだけだ。妻に男の兄弟はいない、おじさんって誰だろう? 疑問が頭から離れなくなった。

やはりその謎を解決するには、探偵社に相談するしかないだろうと思い、何社の探偵社に電話してみたものの、どうもしっくり来なかったと話しておられた。
私との話は、調査をすることより、これからの人生の設計をどう立てるのかが主題であった。何回かの話し合いの末に、ようやく調査をする決断が出来た。
しかし、Aさんには手持ちのお金がない。そこで、Aさんはこう言った。
今、RV車に乗っている、息子たちとスキーに為に買ったけど、息子たちがいなかったらこの車に乗る理由が無い。
この車を売って資金に充てます。勿論、資金とは探偵社に支払う調査費用、そのあとの弁護士費用、そして、子供たちと暮らす準備の費用である。
Aさんは全てを賭けて、このピンチに立ち向かう決断をしたのであった。そこにはうまくいくかどうかの、勝算なんて見えていない、ただ、子供達と一緒に暮らしたい願いだけであった。

それから、調査が始まった。妻は毎日夕方6時前後には勤務先を出る、しかし、子供たちのいる実家には帰らない。
同僚の男性と食事をしたり、ドライブしたり、ホテルに行くことも度々であった。
休みの日も半分はこの男性と二人きりでどこか出かける。
たまに、その男性と子供たちも一緒に食事に出ることはあった。
妻の帰宅は、平日で早くて午後10時である。服装や化粧も派手になり、Aさんから受け取った写真が撮影された2年前とは別人のようである。
その後の調査で、妻の浮気相手は結婚していることが判明した、浮気相手の奥さんは妊娠しており、お腹はかなり大きい。
1ヶ月近い調査からは、Aさんの妻がほぼ毎日浮気相手と会っていることや不貞関係にあること、そして、殆んど育児をしていない実態が浮かび上がった。
時々、子供達の学校や幼稚園の行事や送り迎えなどは、ためらいもなくAさんに行ってくれとメールが入る。
熱を出して医者に連れて行くのも、殆んどAさんだ。
晩ご飯はおじいちゃんおばあちゃんと食べて、お風呂はもおじいちゃんに入れて貰う。
子供たちが寝た後に妻が帰宅する。それまでの間、妻は男と一緒にいる。

この調査結果をどの弁護士に相談しようか?  探偵は悩んだ、弁護士と言ってもその力量やスキル、進め方について、それぞれ特徴があるのは、長年探偵に携わり様々な事案と弁護士と調停や裁判の行方を見守ってきたからこそ、誰でも良いという訳にもいかない。むしろ、ここからが本当の勝負である。妻は子供の親権を取ることを強く主張している。
仮に子供たちが母親は嫌だといっても、法曹界でこの年齢の子供の意見を100%取り上げることは通常は考えられない。
日本の制度は特別の理由がない限り、この年齢の子供は母親にいくことになっている、
不貞関係があっても親権には影響はない。「特別の理由」をいかに法廷で弁護してもらえるかだ。

続きは後で