探偵の独り言 その3

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探偵という職業から、真っ先にイメージするのは尾行かも知れない。
仕事の上での尾行を長年やっているうちに、特別感がなくなっている。
勿論、探偵だからといって最初からそうだった訳ではなく、最初は誰でもドキドキする。
アドレナリンが大量に出るから、高揚感も増す。
この高揚感を、プラスに変えるかそれとも興奮したまま周囲の状況が見えなくなるか、そこが探偵に向いているのかが問われるところなのかも知れない。
土壇場において、舞い上がって頭の中が真っ白になるのか、それとも、覚めすぎるくらい冷静になってしまうのでは、180度方向性が違う。
特別感がないという感覚は、状況が厳しくとも振れずに更に勘が冴える事である。緊張はしないが粛々とやるべきことを遂行する。

調査では様々である、その中でお茶や食事などはよくあるパターンだ。
尾行の最中に対象人物が食事に行ったとしよう、尾行も既に5~6時間過ぎていたらこちらも腹ぺこである。
5~6時間なんて、まだいい方で、時には20時間近く何も食べていないなんてよくあることである。
尾行対象が食事をしている間に、探偵は次の行動を予想して複数の行動パターンを先読みしなくてはいけない。
先読みだけでは無く、その対策やリスク回避までどのようにするかシュミレーションしなければならない。
こちらの読みに無い行動は当然考えられる、何をするか最初から分かっていたら尾行なんて必要ないからね。

調査が終わり、ホッと一段落したとき、空腹感に襲われる。
調査の間は何も感じなかったのに。
調査対象が行った店が、自分が行ったことのない店だった興味のある店なら、行くことがある。
空腹すら感じずに、張り込んでいた時に店の換気扇の下からいい匂いがしていたら尚更である。
何かを埋め合わせるように、後日その店に行って食べたりもする。
その中には、すごくいいお店に当たることもある。
やはり、交際相手に喜んでもらうためには、それなりのクオリティがなければと納得する。
頑張ったんだなと思うような高級店もある。
お陰様で美味しいお店リストが出来る位になっている。
グルメリポートも書けるほどである。
遠方であっても気になったお店は機会をみて、行くこともある。
「探偵のグルメ」の情報提供者は尾行対象とは、皮肉な結果かも知れない。
しかし、お店には何の罪もない、美味しいから行きたくなるし、誰かを連れて行きたくなるのである。